内部留保(利益剰余金)は現金ではありません

たまに『企業は内部留保を社員に還元しろ』と言った主張を聞きます。昨日も以下のような記事を見ました。

なぜ日本企業は賃上げを抑制するようになったのか 先進7カ国で最下位

記事の内容でいくつかそれは違うのではないかと思うところがあるのですが、この記事でも『(4)内部留保が大好きな日本の経営者』という節で内部留保についてふれられています。

『内部留保』という会計用語があるわけではないのですが、この記事にもあるように一般的には『利益剰余金』のことを意味していることが多いです。記事では、企業は内部留保を溜め込まずに配当や給料アップで還元しろと主張しています。

内部留保(利益剰余金)≠現金

内部留保(利益剰余金)は現金ではありません。

内部留保(利益剰余金)は現金ではないので、それを配当や給料で株主や社員に還元しろといってもそんなことはできません。

例として4社の20年3月期の貸借対照表を示します。左上が現金で、右下が利益剰余金になります。これらの貸借対照表を見てもらえばわかるように、会社が持っている現金と利益剰余金は異なるものです。

利益剰余金は現金としてその金額が全てあるわけではなく、その一部は生産設備であったり、有価証券であったり、もちろん現金であったりします。基本的には収益を生み出すための何かしらの資産として使われています。利益剰余金が積み上がってあること自体は、負債とのバランスがという別の話はありますが、悪いことではありません。例えば、社員のパフォーマンスを上げるために素晴らしく座り心地の良い椅子を固定資産として導入したのかもしれません。利益剰余金が必ずしも社員に還元されていないわけではありません。

上記の記事では、内部留保が積み上がっているのはまるで経営者の怠慢かのように書かれていますが、全くそんなことはありません。こういった記事で誤解が広まるのはよくないかなと思います。

内部留保(利益剰余金)は現金ではありません。内部留保を使って社員の給料を増やすことは不可能です。また、経営者が無駄に利益を溜め込んだ結果でもありません。むしろ利益をきちんと出してきた結果です。現金が無駄に積み上がっているのであれば批判されるべきかとは思います。

こういった誤解がなかなかなくならないのも、利益と現金の増加は違うということが知られていないことも要因の1つかなと思います。よろしければこちらもご参照下さい。
会計入門:利益とは-利益の定義と発生主義

なお、賃上げのために経営者も労働者も努力するべきだという意見には賛成です。給料を抑えなければいけない仕事より、給料を上げられるような付加価値の高い仕事が増えるようにした方がいいと思います。

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